グローバル版の正式サービス開始が10月5日に決まり、先行する韓国版はサービス開始から9か月が過ぎました。日本のプレイヤーから見ると「本国の盛り上がりはいま実際どうなのか」は気になるところです。
NCが2026年8月11日に発表した第2四半期決算と決算説明会の発言に加えて、投資家向けのIR資料まで当たって現在地をまとめました。メディア報道では「AION2単体の売上は非開示」とされがちですが、実はIR資料に四半期売上が開示されています。
決算で語られたこと
NCの2026年第2四半期は、売上7,705億ウォン、営業利益1,739億ウォン、純利益1,312億ウォンでした。営業利益は前年同期比で10倍を超える伸びです。
地域別の売上比率は韓国48%、アジア25%、北米・欧州ほか27%で、海外比率が52%となり国内を上回ったとZDNet Koreaは報じています(海外売上比率は4四半期連続で増加)。
報道ではリネージュ関連の数字が中心でしたが、NCが投資家向けに公開している決算プレゼンとファクトシートには、AION2単体の四半期売上が独立した行で開示されています。
AION2の売上推移(IR資料の開示値)
| 四半期 | AION2売上 | 補足 |
|---|---|---|
| 2025年10-12月 | 773.6億ウォン | 11月19日開始の43日分。総課金額(ビリングス)941億ウォンも併記 |
| 2026年1-3月 | 1,367.5億ウォン | ピーク。全社売上の24.5% |
| 2026年4-6月 | 719.2億ウォン | 前四半期比-47.4%。NCは「売上の安定化」と説明 |
1日あたりに直すと、ローンチ期の約18.0億ウォン→1-3月期15.2億→4-6月期7.9億ウォンで、ピーク比でほぼ半減しています。一方で、四半期700億ウォン台は依然としてNCのPC部門の柱の一つです(4-6月期のPC売上の20.9%)。
前作への影響も数字で確認できます。既存AIONの四半期売上はAION2ローンチ前の161.9億ウォン(2025年4-6月)から78.6億ウォン(2026年4-6月)へほぼ半減しており、プレイヤーの移行がそのまま表れています。なお同じ四半期のNCのPC部門で最大だったのはAION2ではなくリネージュ クラシック(1,855億ウォン)でした。
売上以外の指標(MAU・PCU・課金者数・地域別内訳)はIR資料でも開示されていません。開示されているのは四半期売上額までです。
説明会でのAION2の話
決算説明会でパク・ビョンム共同代表は、AION2の7月・8月の指標について次の趣旨を述べています。
- 7月にChapter1アップデートを実施した。その前にメンバーシップの価格を大きく下げ、外見アイテムの購入も合理化した
- それにもかかわらず、7月・8月の指標ではPCU(同時接続のピーク)が増え、6月と比べて売上も上がった
- MAU(月間アクティブユーザー)も下落が止まり、少しずつ上昇している
- グローバル版の開始を控えて韓国・台湾のユーザーが抜けると見ていたが、逆に上がった点を前向きに受け止めている
- 第3・第4四半期を通じて下降トレンドには向かわないと見ている
いずれも具体的な数値は示されておらず、方向性の説明にとどまります。同じ説明会では、AION2のグローバル版投入を起点に10種ほどの新規IPを順次出していく方針も語られました。
この9か月をならすと
韓国版は2025年11月にサービスを開始し、韓国・台湾の先行サービス合算で開始2か月の累計売上が1,000億ウォンを超えたと韓国メディアのゲームビューが伝えています。同メディアの2026年7月20日のインタビューでは、事業室長のソ・インソプ氏が韓国のメンバーシップ利用率について「90%を超える」と答えています。
メンバーシップは当初3プランに分かれていましたが、違いが分かりにくく混乱を招いたため1プランに統合し、価格も大幅に引き下げたとのことです。この方針はグローバル版にも適用されます。
一方で、運営上の課題が消えたわけではありません。韓国公式の「ゲーム利用制限のお知らせ」は8月31日付で第289回に達しています。8月30日の第288回では、この回だけで3,911アカウントが作業場(BOT)と非認可プログラムを理由に制裁を受けました。8月6日の第264回から25日で25回、ほぼ毎日告知が出ている計算です。
直近の運営も動きが続いています。8月26日には9クラスに手を入れる大型調整「クラスコンセプト強化」が入り、翌27日には臨時点検で一部クラスの再調整が行われました。サーバー移転の第2弾も8月26日から9月1日まで実施中です。
考察: 日本のプレイヤーは何を読み取れるか
会社側の説明を額面どおり受け取れば、韓国版は「ローンチ直後の落ち込みが止まり、7月のChapter1で持ち直した」局面ということになります。値下げと課金体系の見直しを挟んでなお売上が戻ったという説明は、メンバーシップ中心の設計が回っている傍証にはなりそうです。
ただし判断材料として弱い点も残ります。売上以外の利用指標(MAU・PCU)は非開示のままで、説明会で語られた「上昇」がどの水準からの上昇なのかは分かりません。そして「売上の安定化」という会社の表現と、前四半期比47%減という実数のどちらを重く見るかは、読み手に委ねられています。
外部の指標で補おうとしても、韓国でよく参照されるPCバン(ネットカフェ)の統計はモバイルからのクロスプレイ分を含みません。AION2はクロスプレイ前提のタイトルなので、PCバンの順位を実人口の代理として読むと過小評価になります。
グローバル版との関係では、説明会で「AION2グローバルの時期と11月のGTA6を見ながら複数タイトルの日程を調整している」と述べられた点が目を引きます。この発言は8月11日時点のもので、当時のグローバル版は「9月中」とされていました。10月5日という日付が出たのは8月26日のgamescomです。日程の見直しが実際にこの調整の一部だったのかは公表されておらず、ここは推測の域を出ません。
日本からの実利としては、韓国版が縮小せず運営が続いていること自体が意味を持ちます。クラス調整もコンテンツ追加も本国のペースで進む以上、先行情報は当面途切れません。
まとめ
決算とIR資料で分かったのは、AION2の売上がピークの半分の水準で推移し、NCがそれを「安定化」と位置づけている状態です。10月5日のグローバル版は、このカーブを再び押し上げられるかを試す次の変数になります。サービス開始から9か月が過ぎても週次の調整とコンテンツ追加が止まっていない点は、10月5日から始める日本のプレイヤーにとっては悪くない材料といえます。
韓国版のサーバー集中や種族の偏り、BOT問題の経緯は別記事でまとめています。あわせて韓国版のサーバー集中と種族偏りの考察、BOT業者とギーナ相場をめぐる論争、NC幹部インタビューもご覧ください。
【追記 2026年9月5日】利用制限の告知はその後も続き、9月4日分については一部が解除されました(利用制限の一部解除の記事)。
出典: Inven(決算説明会レポート)
出典: NC IR資料: 2Q26 Earnings Release
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